相手の送ってくる契約書には、無条件でサインしてはいけない
商品を仕入れるにあたって、メーカーと正式な契約を交わすことになる。
本来、この契約書は、輸入する側、もしくはメーカー(サプライヤー)どちらが作成しても良いことになっている。
輸入ビジネス初心者のあなたは、契約書の作成どころか、契約内容もよくわからないことだろう。
当然、相手が送ってきた英語の契約書をよく読みもせずにサインをすることになる――
しかし、ここでサインしてはいけない。
メーカーが作った契約書は、メーカーの都合で書かれている。
これに無闇にサインをすると、不利益を被る場合があるからだ。
契約書にサインしなかったら、輸入できないし、相手も不愉快に思うのでは?
あなたはそんなふうに思うだろう。
しかし、輸入ビジネスの世界では、これは当たり前の前哨戦なのだ。
あなたはあなたで自分に有利な契約書を自分で作成し、メーカーに送るのである。
でも相手はどう思うだろう?
彼らがつくった契約書については何にも答えず、いきなり我々の契約書を送ったりして。ちょっぴり不安だ。
そんなふうに思われるかもしれないが、実は、欧米社会ではこれがビジネスの当たり前の段取りなのだ。
むしろ、「こいつ、やるな」と相手から一目おかれることになる。
欧米人にとって、交渉は物事を成立させる際の正当なステップ。
お互いに要求を出し合い、譲歩を重ねながら合意に持っていく。
これが、彼らの物の考え方だ。
我々日本人とは、根本的に違うのである。
契約書作成にあたっては、価格、品質条件、納期を守らせる旨の記載は不可欠である。
しかし相手の契約書には絶対にこれが書いてない。
この3つをプラスして送り返すのが、輸入ビジネスの契約書作成のツボなのだ。
くれぐれもここを忘れてはいけない。
我々日本人は、我々が考える以上に几帳面でまじめで正確で勤勉な国民だ。
だからこの国で過ごしていると、すべての約束は守られて当然と思いがちだ。
しかしこれは、まったく特異な例と言える。
結論を言おう。
納期は守られないものと心しておかなければならない。
その上で、事前にどういう対策をたてておくかが大切だ。
メーカーの契約書には、納期の遅れがあった場合でも免責になる、材料が値上がりしたら価格は変えられるなどと、堂々と書いてあることがある。
こういう項目は、絶対に承服できない。
だからこそあなたは、納期を守り、価格変更はできない、という契約書を絶対に作らねばならない。
するとメーカーは新たな契約書を再び送ってくるだろう。
お互いに都合の良いものを出し合う――これを「書式の戦い」という。
お互いに妥協しあいつつ、早く売りたい、早く買いたいという力関係で、最終的に折衷案が出され、ほどよいラインでサインをするのが普通なのである。
英語の契約書なんて難しくて作れそうもない、とあなたは考えるかもしれない。
これもまた、誤解である。
もちろん、契約を代行してくれる業者もあるが、あなたが思うほど難しくない。
ぜひ、最初の段階でチャレンジしておくことをお勧めする。
一度作ってしまえば、後はそれをベースに使い回せば非常に楽である。
契約書のサンプルを掲載しておくので、これから述べる具体的な契約書の書き方を参考に、作成にチャレンジしていただきたい。
大丈夫。
わからないことがあったら、ジェトロやミプロ(財団法人対日貿易投資交流促進協会)といった国の関係機関に無料で相談できるチャンスもある。
もちろん、私大須賀祐の門戸をたたいてくれれば1から丁寧に教えていくし、あなたの疑問に寄り添って一緒に考えていくから安心してほしい。
もはや、誰でも個人で輸入ビジネスができる時代なのだ。
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